擁壁の種類にご注意!すぐに確認すべき理由とは?

擁壁の種類にご注意!すぐに確認すべき理由とは?

 

擁壁の種類にご注意!すぐに確認すべき理由とは?

2020/12/25  更新:

 

 

 

 

 

村上悠です。
自宅、賃貸物件の平屋ガレージハウスを建てるなど、家づくり経験があります。
さらに、経営する複数の賃貸物件のリフォームを何度も行ったことがあります。
その家づくり、リフォームの経験をベースに記事を書こうと思います。

 

今回は、擁壁の種類について、安全な擁壁と危険な擁壁に分けて解説します。


 

 

次の記事でご紹介したRC擁壁も、擁壁の種類の1つです。

 

RC擁壁が、(1)強度・耐久性に優れており、(2)土地を最大限に有効活用するのに最適であり、さらに(3)見た目にもおしゃれであるという3つの理由から、一番おすすめです。記事で詳細を解説しております。→「RC擁壁がおすすめな3つの理由とは?家を建てる方は必読!

 

 

RC擁壁は、強度が高く、耐久性もあり、安全な擁壁であり、RC擁壁の施工は多数あります。

 

しかし、擁壁の種類の中には、安全性が確認できないものもあります。

 

最悪の場合は、崩壊する危険性のある擁壁もあります。

 

こういった安全性の確認できない擁壁は、単に崩壊する危険性だけでなく、他に様々なトラブル、問題の原因になります。

 

擁壁が原因で、その土地に家を新築したり、建て替えることができなかったり、建築が大幅に制限されることもあります。

 

また、危険な擁壁があるという理由で、土地や家が売れないといったトラブル、問題もあります。

 

まずは、あなたの土地の擁壁の種類を、すぐに確認してみてください。

 

そして、不幸にも擁壁に問題があるとわかったら、すぐに対応する必要があります。

 

万一、擁壁が崩壊するようなことがあれば、家が倒壊したり、傾いたり、人が亡くなったり・・大事故になります。

 

そういった事態にならないよう、できるだけ早く、何らかの対応が必要です。

 

本記事では、どんな擁壁の種類が安全で、また危険なのか、また、その擁壁が原因で、どのようなトラブルや問題が考えられるのか、詳細に解説します。

 

擁壁のある土地にお住いの方、その土地で家の建築を検討されている方、さらには、擁壁のある土地や家の売却をお考えの方、皆さんに、本記事は参考になると思います。

 

ぜひ、最後までお読み頂ければと思います。

 

 

 

 

 

 

擁壁とは何か?

 

 

 

 

 

まず最初に、そもそも擁壁とは何かについて解説しておきます。

 

傾斜地や高低差のある土地だと、高い位置から低い方へ土砂が崩れる危険性があります。

 

そんな土地に建物を建てると、建物の加重で、さらに土砂崩れの危険性が高まります。

 

そんな危険性を回避するために設けられるのが、「擁壁」です。

 

擁壁は、土を留める(土留め)の役割がある壁状の構造物で、土砂崩れを防いでくれます。

 

擁壁を設けることで、高い土地やそこにある建物、低い土地やそこにある建物の両方を、守ることができます。

 

擁壁には、種類がいくつかありますが、次のパートで詳しく解説していきます。

擁壁の種類を写真でご紹介!

 

 

 

 

 

それでは、擁壁の種類について、写真も紹介しながら解説していきます。


 

擁壁には、いくつか種類があり、中には現在の法令に適合していない危険な擁壁もあります。

 

写真付きで解説しますので、あなたの土地にある擁壁に問題ないのか、ぜひ、参考になさってみてください。

 

 

擁壁の種類
コンクリート擁壁 強度に優れている鉄筋コンクリート造(RC造)が主流
ブロック擁壁 関知石を使った関知ブロック擁壁が主流
石積み擁壁 安全性に問題ある危険な擁壁

 

 

コンクリート擁壁

 

 

こちらは、鉄筋コンクリート造(RC造)の擁壁です。

 

垂直に施工できるため、土地面積を最大限活用でき、狭い土地の擁壁として最適です。

 

見た目にもおしゃれで、強度も強く、耐久性にも優れた擁壁ですが、施工が複雑で手間と日数を要することで、費用が高いのがデメリットです。

 

コンクリート擁壁には、この他にも、鉄筋のない無筋コンクリートの擁壁もありますが、より強度に優れた鉄筋コンクリート造(RC造)の擁壁が主流です。

 

RC擁壁については、次の記事でも詳細に解説しておりますので、ぜひ、あわせてお読み頂ければと思います。

 

 

同じコンクリート擁壁でも、土地の状況や立地に応じて、擁壁の形状は異なります。

 

逆T型、L型、逆L型、重量式、もたれ式の形状があります。

 

以下の画像は、重力式の擁壁です。

 

 

擁壁の重量で土圧に抵抗する擁壁であり、比較的基礎地盤が良い場合に建てられます。

 

 

 

ブロック擁壁

 

 

よく住宅地で見られる間知石を積み重ねた関知ブロック擁壁で、あなたもご存知だと思います。

 

四角いブロックをジグザグ、もしくはレンガ調に積み上げた擁壁で、ジグザグに積んだのを矢羽積、レンガ調に積み上げたものを布積といいます。

 

関知ブロック擁壁は、高さ5メートルまで積み上げることが可能です。

 

地盤がよく締まっている場合や擁壁の背面土が良好な場合であり、土圧が小さいケースに建てられます。

 

間知ブロック擁壁は、擁壁を斜めに建てるために、どうしても土地がその分狭くなりまり、狭い土地には、あまり向いていません。

 

 

 

次に、危険な擁壁についてご紹介します。

 

擁壁自体の構造に問題があり、建物荷重により擁壁が変状するリスクのある擁壁、法令に適合していない擁壁です。

 

 

大谷石積み擁壁

 

 

大谷石でつくられた擁壁です。

 

大谷石は、風化や劣化が激しく、強度に問題があり、大谷石の擁壁は危険です。

 

大谷石積み擁壁は、現在の建築基準法には適合していない、不適格擁壁です。

 

 

 

玉石積み(石済み)擁壁

 

 

石を積み重ね、石と石の隙間をモルタルで固めた簡単な擁壁です。

 

土圧には弱く、大変危険な擁壁です。

 

玉石積み(石済み)擁壁は、建築基準法には適合していない、不適格擁壁です。

 

 

 

コンクリートブロックの土留め擁壁

 

 

コンクリートブロックの擁壁は、土圧にとても弱いです。

 

崩壊のリスクがあり、大変危険な擁壁です。

 

コンクリートブロックの土留め擁壁は、建築基準法には適合していない、不適格擁壁です。

 

しかし、このコンクリートブロックの土留め擁壁は、あまりにも多くの敷地で使われていることから、建築基準法でも、例外的にも認める場合があります。

 

例えば、土地の高低差が1m以下であり、建築物の荷重が伝わらない配置の場合には、問題ないと認められる場合があります。

 

ここは、素人判断は危険なので、プロの専門家によく相談するようにしてください。

 

 

大谷石積み擁壁、玉石積み(石済み)擁壁、コンクリートブロックの土留め擁壁は、擁壁自体の構造に問題があり、建物荷重による土圧に弱く、擁壁が崩壊したり、変状する可能性のある危険な擁壁です。

 

 

増し積み擁壁

 

 

こちらは、既存の擁壁の上に、コンクリートブロックを積み上げた擁壁です。

 

増し積み擁壁は、既存の擁壁にも、設計時に想定されていない土圧がかかり、崩壊のリスクがある、極めて危険な擁壁です。

 

またコンクリートブロックの土留め擁壁も土圧に弱いので、この擁壁は、本当に危険です。

 

 

 

2段擁壁(3段以上の擁壁も含む)

 

 

擁壁を、近接させて、上下に2段以上重ねるのも危険です。

 

1段目の擁壁と2段目の擁壁が近接していると、2段目の擁壁の荷重が1段目の擁壁に作用します。

 

そのため、1段目の擁壁が、不安定な擁壁になり、最悪の場合は、崩壊するリスクがあり危険です。

 

 

 

以上、増し積み擁壁と2段擁壁(3段以上の擁壁も含む)は、擁壁のたて方に問題があり、法令に適合していない危険な擁壁です。

 

 

 

擁壁工事は、その工事内容により金額は大きく変動します。

 

数百万円~数千万円となる場合もあって、かなり高額です。

 

擁壁工事の費用については、次の記事が参考になります。

 

ぜひ、こちらの記事もお読み頂ければと思います。

 

擁壁の危険性についてさらに確認すべき事とは?

 

 

 

 

 

次に、擁壁の危険性についてさらに確認すべき事について解説します。


 

 

前のパートで、擁壁の種類について写真付きで解説しました。

 

ここで復習です。

 

まず、大谷石積み擁壁、玉石積み(石済み)擁壁、コンクリートブロックの土留め擁壁は、擁壁自体の構造に問題があり危険な擁壁であり、こういった擁壁は解体し、作り直しが必要です。

 

次に、増し積み擁壁と2段擁壁(3段以上の擁壁も含む)は、擁壁のたて方に問題があり、法令に適合していない危険な擁壁なので、こちらも作り直すべきです。

 

そして、一般的によく見る、安全な擁壁です。

 

コンクリート擁壁、ブロック擁壁は、現在の建築基準法でも適合した、土圧にも充分対応できる擁壁です。

 

ただし、これだけでは、確認は不充分です。

 

さらに、確認すべきことが2点あり、(1)擁壁の外観の状態を確認、(2)擁壁の法律上の手続を確認です。

 

  1. 擁壁の外観の状態を確認 
    擁壁にひび割れやクラック、変形等がないか、さらには排水状況等の外観を確認します。
    擁壁の表面が膨らんだり、傾いていないか、擁壁の内部より茶色い水(鉄筋の錆び汁)がでていないか、コンクリートが剥離していたり、ひび割れやクラックがないか・・外観の状態を確認します。
    さらに、水抜き孔があり、そこが詰まっていないか・・擁壁の排水状態も確認します。
  2.  

  3. 擁壁の法律上の手続を確認 
    擁壁が作られた当時の法律上の手続を確認します。
    建築基準法の工作物の確認申請がされ、検査済証を受けているかを確認します。
    これにより、その擁壁が法律で定める構造で、しっかり作られているか否かがわかります。
    ここが確認できないと、構造計算書や地盤状況もわからないので、擁壁の安定性が確認できません。

 

 

コンクリート擁壁、ブロック擁壁であり、さらに以上の2点が確認できれば、ようやく、その擁壁は、法律で示す基準に適合した安全な擁壁ということになります。

危険な擁壁がトラブルの原因になるとは?

 

 

 

 

 

それでは、危険な擁壁がトラブルの原因になるケースについて解説します。


 

 

これまで、擁壁の様々な種類について解説してきました。

 

仮に、あなたの土地にある擁壁が、安全性の確認できない、危険な擁壁であった場合に、どういったトラブルが考えられるのかを、ここで解説したいと思います。

 

 

崩壊の危険性がある

危険な擁壁による一番のトラブルは、擁壁が崩壊したり、傾いたり、擁壁の変状により、擁壁に近接して建てられている家が、倒壊したり、傾いたりすることです。

 

最悪の場合は、擁壁が崩壊し、一気に土砂崩れの事態になり、人命にかかわる大きな事故も考えられます。

 

擁壁は、高低差のある傾斜地の斜面の土砂を保護するもので、がけ崩れを防止するものです。

 

その擁壁が崩壊したり、傾いたりすることになれば、被害は甚大です。

 

絶対にこういったトラブルは、避けなければなりません。

 

万一、自分の土地にある擁壁が倒壊し、第三者を事故に巻き込んでしまった場合、あなたは、擁壁の所有者として、事故による補償の責任を負うことも考えられます。

 

このように、擁壁の所有者は、トラブルに対し、重大な責任とリスクを負っています。

 

 

擁壁により家を建てることができない

危険な擁壁による2つ目のトラブルです。

 

擁壁の安全性が確認できない場合、その土地に新たに建物を建てることができません。

 

既存の建物を建て替える場合も同じで、建築は不可です。

 

危険な擁壁の土地は危険なので、当然です。

 

その土地に家を建てるには、建築基準法の工作物の確認・検査済証や都市計画法の開発許可を受けて設置された宅地用の擁壁であること。

 

さらに、常時適法な状態に維持され、著しい劣化等がなく安全な擁壁であると判断されたものでなければなりません。

 

 

擁壁により建築が制限される

実は、危険な擁壁のまま、その土地に家を建てることが可能です。

 

ただし、既存擁壁が崩壊しても、その影響を建物が受けないように建てるので、建築は大きく制限を受けます。

 

3つ目の危険な擁壁によるトラブルは、この建築制限です。

 

例えば・・

 

危険な擁壁でも、その擁壁から、擁壁の高さの2倍超の距離をとれば、家を建てることができます。

 

擁壁から離して家を建てることで、擁壁が崩壊しても、崩れる土砂の影響を、家は影響を受けないということです。

 

また、擁壁の下に家を建てるケースに限定されますが、家と擁壁の間に、土留施設(コンクリートの防護壁)を設置する方法もあります。

 

さらに、擁壁の上に家を建てるケースに限定されますが、家の基礎や基礎杭等の支持地盤を安息勾配内とすることで、家を建てることが可能です。

 

この説明では難し過ぎるので、説明を補足します。

 

安息勾配とは土等を積み上げたときに自発的に、崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度のことです。

 

つまり、擁壁が崩壊したとしても、安息勾配内の土砂は崩れないということです。

 

その崩れることがない地盤に、家の基礎を設けることで、擁壁が崩壊しても、何ら影響を受けないということです。

 

いくつか、危険な擁壁の土地に家を建てられる場合を説明しましたが、いずれも、建築が大きく制限されます。

 

おそらく、よほど土地が広くなければ、あなたが思い描く家は、まず建てることは無理だと思います。

 

 

擁壁の土地や家が売れない

危険な擁壁による4つ目のトラブルです。

 

危険な擁壁のある土地や家を売却する場合ですが、まず売ることは無理です。

 

仮に売却できるとしても、売却価格は、かなり安くなることが多いです。

 

危険な擁壁である場合、修繕・補修、解体し作り直す等、何らかの対応が必要になります。

 

当然、そのための費用がかかるため、その分、売却価格から大きくマイナスされるからです。

 

近隣の相場から擁壁工事の費用を値引きした価格なので、売却価格は、かなり安くなってしまいます。

 

擁壁の工事費用は、1,000万円を超えることもあり、場合によっては、不動産の売却価格より、擁壁の作り直し費用の方が高いなんてこともあります。

 

その場合には、不動産は売れないことになります。

 

擁壁は、本当に注意が必要です。

まとめ

 

 

 

 

 

以上、擁壁の種類について解説をしました。

 

参考になりましたでしょうか?

 

最後に、注意すべき点について、まとめます。


 

 

本記事をお読み頂ければ、擁壁の安全性が確認できない場合のトラブルが、いかに厄介な問題であるか、よくおわかりいただけたと思います。

 

この擁壁のトラブルは、解決するのに、かなりの費用もかかりますし、絶対に避けるべきです。

 

ちなみに、あなたの土地ではなく、隣接地にある擁壁でも同じです。

 

擁壁が隣接地にあり、その所有者が他人でも、隣接地に危険な擁壁があれば、全く同じで、大きなトラブルになるので、ご注意ください。

 

まずは、あなたの土地にある擁壁について、すぐに、その種類を確認してみてください。

 

そして、その擁壁が、安全とされるコンクリート擁壁、ブロック擁壁であったとしても、以下の2点を必ず確認してください。

 

  1. 擁壁の外観の状態を確認
  2. 擁壁の法律上の手続を確認

 

この2点についても、確認できれば、その擁壁は問題ない、安全な擁壁だということです。

 

その土地に、家を建てることも、土地を売却することも可能です。

 

不幸にも、擁壁が危険な不適格擁壁であった場合です。

 

その場合は、擁壁の崩壊事故が起こる前に、できる限り速やかに、何らかの対応をすべきです。

 

いずれの場合も、擁壁については、まずは専門家に相談すべきです。

 

素人判断は、本当に危険です。

 

以下のサービスは、私も何度か利用したことがありますが、かなり使えます。

 

とりあえず、サイト内を確認してみてはいかがでしょうか。

 

 

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今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

著者情報:
村上悠
レリッシュプラン株式会社:代表

自宅を三井ホームで建て、さらに賃貸物件の平屋ガレージハウスを建てる等、新築の家づくり経験があります。
さらに、複数の賃貸物件についても、空室対策として何度もリフォームを行ったことがあります。
そういった家づくり、リフォーム経験で得た気付き、知識等を、記事にしていきたいと思います。

家づくり、リフォーム等に役立つであろうと、資格も取得しました。
賃貸業など不動産ビジネスに役立つであろうと、宅地建物取引士に2008年に合格。
また、家づくり、リフォームに色彩は重要ということで、2級カラーコーディネーター(商工会議所)の資格を2019年に取得。
さらに、以前サラリーマン時代に、国内旅行業務取扱管理者の資格も2016年に取得。

 

著者のプロフィール情報

 

 

記事更新:
■よりわかりやすくするために、「擁壁とは何か?」記事をの追加し、さらに「擁壁の種類」について大幅に修正を加えました。(2023/8/25)